感覚日記とは、お子さんがその日に何を経験し、どう反応したかを記録するシンプルな記録です。場所、音、光、人混み、手ざわり、予定の変化などを、落ち着いていた時間やつらかった場面と一緒に書き留めます。数週間続けると、記憶だけではほとんど見えないパターンが浮かび上がってきます。この記事では、自閉症の子の感覚日記のつけ方、何を記録するか、無理なく続けるための工夫を紹介します。
感覚日記が記憶よりも役立つ理由
長い一日の終わりに、多くの保護者が覚えているのはいちばん大きな出来事、たいていはパニックくらいです。記憶は劇的な場面を残し、静かに積み重なっていった過程を落としがちです。それは自然なことです。ただ、つらい場面の前に何があったのかを理解したいときには、あまり役に立ちません。
書いた記録は、次のような点で助けになります。
- 積み重なりが見える。感覚過負荷は、小さなことの積み重ねの結果であることが多いものです。日記を見れば、最後の一滴だけでなく、コップが満ちていく過程がわかります。
- 良い時間も見える。何がお子さんを落ち着かせるのかを知ることは、何が苦手なのかを知るのと同じくらい価値があります。
- パターンが見える。「体育のある日はつらい」「外遊びのあとは調子がいい」といったことは、日ごとに並べて比べて初めてはっきりします。
- 相談の時間が有意義になる。「今週は大変でした」より、具体的な例があるほうが、療育の先生はずっと多くのことができます。
お子さんの感覚過負荷がどんなふうに現れるのかをまだ探っている段階なら、感覚過敏と感覚過負荷のサイン・原因の記事から読むのがおすすめです。
感覚日記に何を記録するか
すべてを書く必要はありません。すばやく、毎回同じ形で記録できる、いくつかの項目に絞りましょう。
毎回の記録の基本
- 時間:だいたい何時ごろだったか。
- 場所と活動:教室、車の中、スーパー、お風呂、夕食など。
- 感覚の様子:音の大きさ、光、混雑具合、におい、手ざわり、動き。
- 直前にあったこと:切り替え、予想外の出来事、何かを求められたこと、空腹や疲れ。
- お子さんの反応:耳をふさぐ、ハミングする、その場を離れる、笑う、リラックスするなど、見たままの様子。
- 助けになったこと:イヤーマフ、静かな場所、おやつ、ハグ、休憩など。
- 負荷の度合い:1が落ち着いている、5が圧倒されている、というシンプルな5段階。
1日に1回
短いまとめを加えます。前の晩の睡眠、体調不良、生活リズムや薬の変化、その日全体の評価などです。同じ場所が、ある日は平気で、次の日はつらすぎる。その理由は、こうした背景にあることがよくあります。
評価せず、見たままを書く
どういう意味だと思ったかではなく、見たことを書きましょう。「大げさに反応した」より、「ミキサーの音がした瞬間に耳をふさいで机の下に隠れた」のほうがずっと役に立ちます。はっきりした中立的な記録は、あとで保護者にも療育の先生にも読みやすくなります。
シンプルな感覚日記のテンプレート
この表は、ノート、表計算ソフト、メモアプリのどれにでも写して使えます。下は、ある一日を記入した例です。
| 時間 | 場所・活動 | 感覚の様子 | 直前 | 反応 | 助けになったこと | 負荷(1〜5) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 7:40 | 台所、朝ごはん | 静か、明るい日差し | よく眠れた | 落ち着いている、よく話す | — | 1 |
| 12:10 | 教室、給食 | とてもうるさい、配膳で混雑 | 11:30に避難訓練 | 耳をふさぐ、食べなかった | 早めに図書室へ | 4 |
| 15:30 | 公園 | 屋外、人が少ない | 学校からのお迎え | ブランコ、リラックス | 体を動かす | 2 |
| 17:45 | スーパー | 蛍光灯、店内の音楽 | 疲れている、空腹 | 泣く、帰りたがる | 早めに帰る、車でおやつ | 5 |
毎日同じ項目を使いましょう。細かさより、続けることのほうが大切です。
感覚日記を続けるコツ
いちばん難しいのは始めることではなく、忙しい日にも続けることです。次のステップが助けになります。
- 小さく始める。印象に残った場面と、毎日ひとつの落ち着いていた時間だけを記録します。
- すぐに書く。寝る前の完璧な記録より、その場でスマートフォンに残す短いメモのほうが役立ちます。
- 同じ尺度を使う。1〜5の負荷の評価を使えば、日ごとの比較が簡単になります。
- 分担する。もう一人の保護者、祖父母、学校や放課後等デイサービスの先生に、それぞれの時間帯の様子を書いてもらいましょう。連絡帳を活用するのもひとつの方法です。
- お子さんも一緒に。できるなら、その場所がどうだったかを数字で答えてもらったり、気持ちの表情カードから選んでもらったりしましょう。本人の視点は大切です。
- まずは2週間。パターンが見えてくるには、少なくとも2週間ほどの記録が必要です。
パターンの見つけ方
週に1回、10分ほど時間をとって記録を読み返します。自分にこう問いかけてみましょう。
- 負荷の高い評価の前に、何度も出てくる場所や活動はどれか?
- いちばんつらい時間帯はいつか?いちばん楽なのは?
- 睡眠、空腹、いつもの流れが崩れたことは影響しているか?
- お子さんが回復するのに、確実に役立つことは何か?
気づいたことを2つか3つ、そして来週試してみることをひとつ書き出します。たとえば「学校帰りではなく、夕食前にスーパーに行く」などです。そして、日記に変化が現れるかを見てみましょう。こうしたまとめは、療育の先生と成長を共有するときにもそのまま役立ちます。
つらそうな様子がはっきりしたパターンとして見えてきたら、日記を作業療法士に見せてください。何が起きているのかを理解し、お子さんに合った方法を提案してくれます。
自動化でできること
紙の日記でも十分に役立ちますが、限界もあります。お子さんのつらい場面を支えている最中にはメモを取れませんし、学校にいる間はそばにいられません。部屋が実際どのくらいうるさかったかといった細かいことは、推測を誤りやすいものです。
自動化は、その隙間の一部を埋めてくれます。スマートフォンは音の大きさをデシベルで測れます。カメラは、お子さんがどこにいて、どのくらい混雑していたか、明るかったかを記録できます。ソフトウェアはそれらをひとつのタイムラインにまとめてくれるので、保護者は記録ではなく、理解とサポートにエネルギーを使えます。それでも、いちばん大切なのは保護者自身の観察です。お子さんがつらくなり始めたときの表情を知っているのは、あなただけだからです。
よくある質問
感覚日記はどのくらいの期間つければいいですか?
結論を出す前に、少なくとも2〜4週間は続けてみましょう。それだけあれば、さまざまな日、場所、生活の流れにまたがるパターンが見えてくることが多いです。その後も、新学期などの変化の時期を中心に、簡単な形で続けている家庭はたくさんあります。
紙とアプリ、どちらを使うべきですか?
実際に続けられるほうを使いましょう。紙はシンプルでプライバシーも守りやすく、表計算ソフトやメモアプリは検索や共有がしやすいです。いちばん大切なのは、毎日同じ項目と同じ評価の尺度を使うことです。
子ども本人も感覚日記に参加できますか?
はい、とても役に立ちます。年齢やコミュニケーションの方法に合わせて、数字、色、表情で場所を評価してもらったり、何がうるさすぎたか、まぶしすぎたかを教えてもらったりできます。時間をかけて、自分の感覚のニーズに気づく練習にもなります。
記録がたまったら、どう活用すればいいですか?
週に1回読み返し、パターンを2つか3つ書き出して、わかったことをもとに小さな変化をひとつ試してみましょう。作業療法士などの専門家との面談には、日記か短いまとめを持っていくと、具体的な例を見てもらえます。
ご注意:この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師、作業療法士などの専門家による助言に代わるものではありません。Daily Sensoryは日々の観察を助けるツールであり、医療機器ではありません。