生活リズム

自閉症の子どもの切り替えが苦手なときの12の工夫

公園から帰る、ゲームをやめる、車に乗る。自閉症の子どもの多くにとって、1日でいちばん大変なのは「活動と活動のあいだ」です。

Daily Sensory 編集部 · · 約6分で読めます

切り替えとは、今していることをやめて次のことを始めなければならない瞬間のことです。朝ごはんから着替えへ移るような小さなものもあれば、新しいクラスや引っ越しのような大きなものもあります。自閉症(自閉スペクトラム症・ASD)の子どもの多くは、こうした切り替えが苦手です。それはわがままではなく、見通しと、気持ちを整える時間が本当に必要だからです。この記事では、家庭・学校・外出先で使える切り替えの工夫と、1日の中の難しい場面にそのまま使えるシンプルなプランを紹介します。

自閉症の子どもが切り替えを苦手とする理由

切り替えのたびに、子どもは一度にいくつものことを求められます。楽しんでいること・わかっていることを手放し、注意を移し、次に何が来るかを予測し、多くの場合は新しい感覚の環境に入っていきます。これはどんな脳にとっても大仕事で、自閉症の子どもの多くにとってはなおさらです。

  • 見通しがあると安心できる。次に何が来るかわかっているとストレスが減ります。突然の変化はその安心を奪います。
  • 深い集中は途切れにくい。大好きなことに没頭しているとき、やめるのは冷たい水から急に引き上げられるような感覚になることがあります。
  • 次の場所は感覚が違うかもしれない。静かな部屋から騒がしい車内や明るいお店へ移ると、ちょうど気持ちを切り替えている最中に感覚の負荷が加わります。
  • 時間をイメージしにくい。「あと5分」と言われても、5分がどれくらいか感じられなければ意味をなしません。
  • 小さなストレスは積み重なる。切り替えの多い日はエネルギーが消耗し、1日の10回目の変化は1回目よりずっと大変になります。

つまずきの理由がわかると、急かすのではなく、落ち着いて対応しやすくなります。目標は切り替えを速くさせることではなく、変化をより安心で見通しのあるものにすることです。

切り替えが限界を超えているサイン

やめたくないとはっきり伝える子もいれば、もっと静かな形で表す子もいます。次のような様子に注意してみましょう。

  • 声かけを無視する、聞こえていないように見える
  • 次に何をするのか何度も聞く
  • ぐずぐずする、隠れる、逃げ出す
  • いつもより常同行動(体を揺らす、手をひらひらさせるなど)や歩き回る、ハミングが増える
  • 泣く、叫ぶ、床に寝転がる
  • 急に静かになる、固まってしまう

切り替えで大きな反応が出たときは、それが感覚や情報のあふれによるものか、不満によるものかを知っておくと役立ちます。自閉症のメルトダウンとかんしゃくの違いの記事で、違いとそれぞれの支え方を説明しています。また、難しい切り替えが騒がしい場所や人混みで起きやすいなら、変化そのものだけでなく感覚過負荷が関係しているかもしれません。

切り替えが苦手な子のための12の工夫

12個すべてを使う必要はありません。お子さんといちばん大変な場面に合いそうなものを2〜3個選び、そこから広げていきましょう。

切り替えの前に

  1. 予告する。変化が起こる前に、もうすぐ変わることを伝えます。10分前と2分前の2回予告がうまくいくご家庭が多くあります。
  2. 時間を目に見えるようにする。砂時計、目で見るカウントダウン、色が減っていくタイマーアプリなどは、言葉では伝わらない時間の経過を見せてくれます。
  3. 視覚スケジュールを使う。1日の順番を絵や文字で示すと、お子さんが次に何があるかを自分で確認できます。作り方は自閉症の視覚スケジュールの作り方で紹介しています。
  4. 「まず〜、それから〜」を使う。「まず靴、それから車でタブレット」は短くわかりやすく、その先に楽しいことがあると伝えられます。
  5. 新しい場所を下見する。新しい学校や病院の写真や動画を見せたり、前を車で通ったりすると、知らない場所が少し身近になります。

切り替えの最中に

  1. 言葉を減らす。すでにいっぱいいっぱいのときは、長い説明より、落ち着いた短いひと言のほうが受け取りやすくなります。
  2. 「つなぎのアイテム」を渡す。小さなおもちゃ、握れるグッズ、カードなどを次の場所まで持っていくと、移動が安定しやすくなります。
  3. 役割を任せる。「鍵を持ってくれる?」「エレベーターのボタンを押してね」と頼むと、はっきりした役割と集中する対象ができます。
  4. 「つなぎの活動」をはさむ。車の中で決まった歌を歌う、玄関で3回ジャンプするなど、大きな活動のあいだに短く決まった活動を入れると、切り替えがやわらぎます。
  5. 小さな選択肢を出す。「お風呂まで歩いて行く? ぴょんぴょん跳んで行く?」と聞けば、変化は起きつつも、お子さんが少し主導権を持てます。

切り替えの前後を通して

  1. 「まだ終わっていない」に備える。途中でやめるのが苦手な子は多くいます。「あとで続ける箱」やしおり、作りかけのブロックの写真などで、活動がなくならないことを示しましょう。
  2. 忙しい日はエネルギーを守る。減らせる切り替えは減らし、難しいとわかっている変化の前には静かな時間を入れましょう。よく休めて落ち着いている子は、変化にずっと対応しやすくなります。

シンプルな切り替えプランの例

難しい切り替えを1つ選び、そのためのプランを書いてみましょう。毎日同じ流れにすると、ストレスの多い場面が、お子さんが覚えられる「いつもの流れ」に変わります。そのまま使える例を紹介します。

ステップすること例:公園から帰る
1. 最初の予告変化が来ることを言葉と目で伝える「あと10分ね」と言い、目で見えるタイマーをスタート。
2. 最後の予告短く思い出させる「あと2分。すべり台はあと1回ね」
3. 終わりの儀式いつも同じ「さようなら」ブランコに手を振ってバイバイ。
4. つなぎ移動中の役割やアイテム水筒を車まで持っていく。
5. 次のことはっきりしていて落ち着けること車で好きな歌、家に帰ったらおやつ。

評価する前に、同じプランを1〜2週間試してみましょう。習慣が定着するには時間がかかり、1日目より10日目のほうがうまくいくことはよくあります。

大きな変化:入学・進級、引っ越し、長期休み

数分ではなく、数週間続く切り替えもあります。新学期、きょうだいの誕生、引っ越し、夏休みや年末年始の休みなどは、生活のたくさんの部分を一度に変えます。次のようなことが役立ちます。

  • 早めに始める。変化が起こるずっと前から、写真や絵を使って話しておきます。
  • 変わらない「軸」を残す。寝る前の流れやお気に入りの朝ごはんなど、同じままにできる部分は守りましょう。
  • ソーシャルストーリーを作る。これから起こることを絵つきの短くやさしいお話にすると、新しい状況が少し身近に感じられます。
  • 周りの大人と共有する。先生、療育の先生、祖父母などが同じ言葉と支援を使えば、お子さんは一貫したメッセージを受け取れます。
  • 波があることを想定する。大きな変化の時期には、常同行動が増えたり、睡眠が変わったり、夕方が荒れやすくなったりするのはよくあることです。新しい生活に慣れるにつれて、たいていは落ち着いていきます。

ほとんど毎日のように切り替えでつらそうにしている場合は、作業療法士に感覚面や気持ちの調整について相談できます。また、学校と話し合い、特別支援教育や合理的配慮の一環として、学校生活の中に切り替えの支援を加えてもらえることもあります。

いちばん大事な切り替えを見つける

すべての切り替えが同じように難しいわけではありません。下校時やお風呂から出るときなど、特定の1〜2場面がつまずきの大半を占めているご家庭も多くあります。大変な場面がいつ起きたか、どこから来てどこへ向かっていたかをメモしておくと、どの切り替えから取り組むべきかが見えてきます。いちばん難しいのは、静かな場所から騒がしい場所や明るい場所へ移る切り替えであることが多いものです。

よくある質問

切り替えの前にどれくらい前から予告すればよいですか?

多くのご家庭では、約10分前と約2分前の2回予告しています。もっと早い予告が必要な子も、短くてよい子もいます。お子さんの反応を見ながら調整しましょう。言葉だけより、目で見えるタイマーと組み合わせるほうがうまくいくことが多いです。

時間帯によって切り替えがより難しくなるのはなぜですか?

エネルギーは1日の中で少しずつ減っていきます。放課後、疲れているときやお腹がすいているとき、変化が続いたあとは、もう1つの変化に対応する余力が残っていません。難しい切り替えは、休めていて食事もとれている時間に計画すると大きな違いが出ます。

メルトダウンを防ぐために切り替えを避けたほうがよいですか?

特に大変な日には、ある程度柔軟にするのは優しく役に立つ対応です。ただ、切り替えは生活の一部なので、目標はなくすことではなく、見通しが持てて支えのある形にすることです。十分な支えのある小さな練習が、少しずつ自信につながります。

切り替えがとても難しい場合、誰に相談できますか?

作業療法士は、変化を難しくしている感覚面や気持ちの調整の課題を一緒に見てくれます。学校の担任や特別支援教育の担当の先生は、学校でも同じ支援を使えます。心配なときは、まずかかりつけの小児科医に相談するのもよい方法です。

ご注意:この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医師、作業療法士、その他の専門家による助言に代わるものではありません。Daily Sensory は観察を助けるツールであり、医療機器ではありません。

子どもの目線で、1日を見てみよう。

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